介護のお仕事

「ありがとう」が
うれしい
成長し続ける
3人の挑戦
  • 技能実習・介護助手
    (左から)リスディさん、ロスさん、フェルディ さん

    19歳・インドネシアから2023年に来日・日本語能力試験N3

  • 富山県高岡市
    社会福祉法人戸出福祉会 特別養護老人ホーム だいご苑

    特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護、居宅介護支援事業等、地域に根ざした高齢者福祉事業

  • 2023年にインドネシアから日本へ来た3人の技能実習生(男性1名・女性2名)は、特別養護老人ホーム だいご苑様に受け入れていただき、介護の実習に励んでいます。
    とても楽しそうに実習している3人は、こちらで仕事のやりがいを知り、3人とも介護福祉士を目指したいと考えているそう。
    実習の様子はもちろん、言語や文化、宗教も違う日本での生活についてもインタビューしてきました。

    インタビューは日本語で行い、回答も日本語でいただいていますが、一部文章としてよみやすいよう編集しています
現在、どのようなお仕事をされていますか?
フェルディさん:介護の仕事をしています。利用者さんの日々の生活のお手伝いをしますが、すべてをお手伝いするのではなく、(利用者さんの意思や希望を尊重し、自立した生活ができるよう)ご自身でできることはご自身でしていただき、できない部分を支援しています。
仕事中で特に楽しいと感じることはありますか?
ロスさん:利用者さんに「ありがとう」と言われたときが一番うれしいです。自分の仕事が誰かの役に立っていると感じる。
リスディさん:利用者さんが昔の話や日本の文化についてお話をしてくれることも、勉強になって楽しいです。
実習の環境はいかがですか? 利用者さんや職員の皆さんとはどのように接していますか?
皆さん:みんなすごく優しいです。いつも教えてくれます。
フェルディさん:施設でお祭りなど日本のイベントを体験しています。
ロスさん:施設では日本のイベント、餅つきとかがあって先輩や入居者さんと一緒に楽しんでいます。会社のイベントでボウリングをしたのは楽しかった。
リスディさん:ボウリングは初めてだったけど、めちゃくちゃ楽しかったです。日本ならではのイベントも多く、文化を体験できるのが楽しいです。
仕事をしていて、難しいと感じることはありますか?
リスディさん:介護の記録が難しいです。先輩に(記録する内容を)日本語で正しく伝えるのが大変です。
ロスさん:認知症の利用者さんから「家に帰りたい」と言われたときの対応が難しいと感じました。
フェルディさん:二人と同じように、利用者さんの対応でどうしていいか迷う時があります。
そのようなとき、どのように対処していますか?
リスディさん:(記録を正しく残すため)分からないことがあればすぐに先輩に聞くようにしています。
ロスさん:先輩の対応を見て、真似をします。「少し待っていてくださいね」「ご家族に連絡をしますね」と否定をせず優しく声をかけることで、安心してもらえることが多いです。
フェルディさん:分からないことがあればすぐに先輩に聞くようにしています。日本語が難しくて理解できないことがあったとしても、先輩がその場でスマホを使って翻訳したりしながら教えてくれます。
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皆さん、日本語がとても上手ですが、どのように勉強していますか?
リスディさん:本で勉強するほかは、TikTokやインスタ、YouTubeで日本語を勉強しています。日本のアニメも観ます。
ロスさん:私は日本のドラマを観て勉強しています。分からない言葉が出てきたら、分かるまで、巻き戻して何度も聞きます。
フェルディさん:私もアニメを観ます。「どらえもん」はインドネシアでもよく観ていました。言葉が簡単なので勉強になります。分からない言葉が出てきたら、ネットで調べたり、字幕を観たりしています。
どうして日本へ? どうして介護の仕事を選んだのですか?
ロスさん:小学生の時から日本に興味があり「行きたい」と思っていたので、高校卒業後日本語の学校で(日本語を)学びました。介護を選んだのは、自分の家族が年を取ったときに、知識や経験が役に立つと思ったからです。
リスディさん:もともとは看護師になりたかったのですが、学費が高くて…。同じように人を助ける仕事なので、介護を選びました。
フェルディさん:最初は介護の仕事を考えていませんでしたが、日本には興味がありました。兄が日本で介護の仕事をしていて「介護はとてもいい仕事だよ」と勧めてくれたので、日本で介護をやってみようと思いました。
実際に介護の仕事をしてみてどうでしたか?
皆さん:最初は驚くことも多かったですが、やっていくうちに利用者さんから感謝されることが増えて、楽しいと感じるようになりました。時には大変なこともありますが、やりがいを感じています。
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仕事以外で『気分転換する方法(趣味)』はありますか?
リスディさん:小説を書くのが趣味です。最近は忙しくてあまりかけていませんが、日本語でも書いています。また再開したいです。
ロスさん:料理とスポーツが好きです。インドネシア料理も作りますが、日本料理も学んでいます。(最近は)鍋やカレーを作りました。日本の箱入りカレーを使いますが、美味しいです。
フェルディさん:絵を描きます。油絵で風景画を描いていて、日本に来てからはチューリップや立山の景色を描きました。
日本の食べ物で好きなものはありますか?
フェルディさん:お寿司(ワサビあり)、うどん、わかめ・卵の味噌汁、馬刺し、抹茶の入ったお菓子などが好きです。納豆も食べられます!
ロスさん:日本食は優しい味で健康にいいと感じます。サーモン、刺身、たこ焼き、鮎も好きです。
リスディさん:たいやき、あんこが好きです。牛肉のしゃぶしゃぶも好きです。
皆さん:利用者さんとも好きな食べ物を話題にして話すことが多いです。
日本の食べ物のお話をしていただきましたが、ハラルフードにはどのように対応していますか?
ロスさん:最初はハラルフードを買える場所が分からなくて、原材料を一つ一つ読むのが大変でしたが、『業務スーパー』でハラルフードが買えることや、商品コードでハラムフードが判別できるアプリを知り、今は楽になりました。食べたい日本料理があれば、自分で作っています。外食時は豚肉とお酒が入っていないことを確認して食べています。
リスディさん:原材料の確認に時間がかかるので、買い物は今でも少し大変だと感じています。外食はROSさんと同じでお酒が入っていないことを確認して食べています。
フェルディさん:最初は原材料の漢字を読むことが大変でしたが、今は食べられるものが分かってきているので楽になりました。

※ハラルフード:イスラム教の教えに基づいて、食べることを「許されている」食べ物
 ハラムフード:イスラム教の教えに基づいて、食べることが「許されていない」食べ物 (豚肉・お酒など)
※個人差がありますが、ハラルとはイスラム教徒の生活全般において重要な指標(考え方)のことです
日々のお祈りはどうしていますか?
ロスさん:就業中は、休憩室で、可能な時は時間を取って、忙しい時は休憩中もしくは帰った後に2つの礼拝を一緒にしていますので問題ありません。
リスディさん:(時間的に)可能で許可をいただいた時は仕事の合間に休憩室で礼拝をしています。忙しい時は休憩時間に2つの礼拝を一緒にしています。
フェルディさん:礼拝は休憩時間に休憩室でしています。場合によっては、帰宅後にするようにしています。
※イスラム教徒は1日5回、決まった時間に礼拝をします
受入企業さまより
施設において技能実習生を受け入れるのは初めての事でもあり言語、文化、宗教の違いに不安や戸惑いがありました。
彼らも祖国、親元を離れ想像を絶する不安があったかと思います。当初、教育に関しても手探り状態でした。インドネシア語と日本語の教材を組み合わせて使用したり、動画等を活用し座学を1か月以上積み重ね沢山の事を学びました。それでもいつも彼らは『知りたい!学びたい!』という気持ちで真剣な眼差しでした。介護現場に出た時はキラキラとした笑顔でフロアが明るくなりました。今では利用者様や職員からも人気者となっています。
彼らの良さでもある優しさ、素直さ、人に対する感謝の気持ち、思いやりには私たちも多くの事を学ばせてもらっています。彼らは私達にとっての大切な仲間でもあり大切な家族でもあり何といってもプロの介護士です。
当組合担当者より
だいご苑様を訪れるたびに、利用者様が本当に活き活きと過ごされている様子が印象的です。3人もその温かい環境の中で、利用者様と楽しそうに会話を交わし、笑顔で実習に励んでいる姿を拝見しています。
また、現場の職員の皆様が、3人が理解に苦しむ場面ではスマートフォンの翻訳機能を駆使しながら根気よく指導してくださるなど、大変手厚く迎え入れてくださっていることに、心から感謝申し上げます。彼らが安心して学び、成長できるのは、企業様の温かいご配慮のおかげにほかなりません。
そのような環境の中で、3人は日本や介護の仕事に大きなやりがいを感じ、2年目にして国家資格である介護福祉士の取得を目指したいと希望するようになりました。試験は決して簡単ではありませんが、当組合としても、彼らが夢を実現できるよう、誠心誠意サポートしてまいります。